「まさか自分の店が…」と後悔する前に。オーナー必見の美容室の防犯対策を徹底解説

大切な店舗とスタッフ、お客様を守るため、防犯対策は万全ですか?美容室は「豊富な現金や高価な備品」「人の出入りによる死角」「夜間の無人状態」という理由から、実は犯罪者に狙われやすい場所です。この記事では、想定される被害例から、コストゼロで始められる対策、防犯カメラといった設備投資、万が一の際の対処法まで、オーナーが知るべき防犯対策の全てを網羅的に解説します。

目次

1. なぜ美容室の防犯対策は重要なのか 狙われやすい理由を解説

「自分の店は大丈夫」そう思っていませんか?しかし、美容室はオーナーが考える以上に犯罪者に狙われやすい場所です。お客様とスタッフの安全、そして大切な資産を守るためにも、まずは「なぜ美容室がターゲットになるのか」その理由を正しく理解することから始めましょう。

1.1 理由1 現金や高価な薬剤・機材が豊富にある

美容室には、犯罪者にとって魅力的な資産が多く存在します。まず挙げられるのが、レジの中にある現金や日々の売上金です。キャッシュレス決済が増えたとはいえ、依然として現金での支払いは多く、まとまった現金を保管している店舗は少なくありません。

さらに、現金だけでなく、高価な業務用薬剤や美容機器も窃盗犯にとっては魅力的なターゲットです。プロ仕様のトリートメント剤やカラー剤、一本数万円もする高級なシザー(ハサミ)、最新のドライヤーやヘアアイロンなどは、換金目的で盗まれるケースが後を絶ちません。

1.2 理由2 スタッフとお客様の出入りで死角が生まれやすい

営業中の美容室は、スタッフとお客様の出入りが頻繁で、一見すると人の目が多くて安全に思えるかもしれません。しかし、その喧騒が逆に犯罪の温床となることがあります。施術に集中している間や、バックヤード、スタッフルーム、お客様の荷物を置くロッカー周辺などは大きな死角となり、置き引きや内部スタッフによる盗難のリスクが潜んでいます。

特に、予約が集中して店内が混み合う時間帯は注意が散漫になりがちです。犯人はそうした一瞬の隙を巧みに突いてきます。

1.3 理由3 夜間や定休日は無人になる

営業が終わった後の店舗も大きなリスクを抱えています。夜間や定休日は店舗が完全に無人となり、侵入窃盗のリスクが格段に高まります。特に、路面店や比較的静かな通りに面した店舗は、人通りが少なくなる深夜から早朝にかけて狙われやすくなります。

シャッターを閉め、鍵をかけたとしても、プロの窃盗犯は窓ガラスを割ったり、鍵をこじ開けたりと、あらゆる手口で侵入を試みます。無人になった店舗は、犯人にとって時間をかけてゆっくりと物色できる格好の場所なのです。

2. 美容室で実際に想定される被害とは

「自分の店は大丈夫」と思っていても、犯罪者は僅かな隙を見逃しません。美容室は一見すると華やかな空間ですが、その裏には犯罪者に狙われやすい様々なリスクが潜んでいます。ここでは、営業中と閉店後・休日に分けて、実際に想定される具体的な被害内容を詳しく解説します。

2.1 営業中に起こりうる被害

お客様やスタッフが頻繁に出入りする営業中は、人の動きに紛れて犯罪が発生する可能性があります。特に混雑する時間帯は注意が散漫になりがちで、犯罪者にとっては絶好の機会となり得ます。

2.1.1 レジからの現金や売上金の盗難

スタッフがシャンプーやバックヤードでの作業でレジから離れた一瞬の隙を狙い、現金を抜き取られる被害です。お客様を装った犯人が会計時に巧みにスタッフの注意をそらし、レジから売上金を盗むといった手口も報告されています。その日の売上を失うだけでなく、営業に必要な釣銭まで盗まれると、その後の店舗運営にも支障をきたします。

2.1.2 お客様やスタッフの私物を狙った置き引き

お客様が施術を受けている間、ロッカーや預かった手荷物から財布やスマートフォンなどの貴重品が盗まれる「置き引き」は、美容室で特に警戒すべき犯罪です。同様に、スタッフルームに置かれたスタッフの私物もターゲットになります。お客様の私物が盗難に遭った場合、お店の管理体制が問われ、信用の失墜や顧客離れに直結するため、極めて深刻な問題です。

2.1.3 悪質なクレーマーや不審者によるトラブル

施術内容に対して理不尽な言いがかりをつけ、高額な返金や慰謝料を要求する悪質なクレーマーによる被害も後を絶ちません。また、店内で大声を出したり、スタッフや他のお客様に威圧的な態度をとったりする不審者とのトラブルは、店の雰囲気を著しく悪化させます。スタッフが精神的な苦痛を感じ、最悪の場合、離職につながることもあり、従業員を守る観点からも対策が不可欠です。

2.2 閉店後や休日に起こりうる被害

人の気配がなくなる夜間や定休日は、プロの窃盗団による「空き巣」の格好のターゲットとなります。短時間で犯行に及ぶため、物理的な対策が非常に重要です。

2.2.1 空き巣による現金や高価な備品の盗難

裏口のドアや窓ガラスを破壊して店内に侵入し、レジや金庫に保管している売上金や釣銭を盗む手口が一般的です。それだけでなく、高価なシザー(ハサミ)や美容機器、パソコン、さらには在庫として保管しているヘアケア商品やカラー剤などが根こそぎ盗まれるケースもあります。金銭的な被害はもちろん、営業に必要な備品を失うことで、事業の継続が困難になるほどの大きなダメージを受ける可能性があります。

2.2.2 パソコンからの顧客情報漏洩

空き巣被害は、金品だけにとどまりません。予約管理や顧客管理に使用しているパソコンが盗まれた場合、そこに保存されているお客様の氏名、住所、電話番号、来店履歴といった個人情報が外部に流出する危険性があります。個人情報の漏洩は、お客様への損害賠償問題に発展するだけでなく、美容室としての社会的信用を完全に失う、取り返しのつかない事態を招きます。

2.2.3 店舗設備や内装への破壊行為

侵入の際にドアや窓が壊されるだけでなく、侵入後に腹いせや愉快犯的に店内の設備が破壊されることもあります。大きな鏡を割られたり、セット椅子やシャンプー台を傷つけられたり、壁にスプレーで落書きをされたりといった悪質なケースです。盗難被害が軽微であっても、店舗の修繕には高額な費用と時間がかかり、営業再開の目処が立たなくなることも少なくありません。

3. 今日から始められる美容室の防犯対策【コストゼロ編】

本格的な防犯設備の導入にはコストがかかりますが、まずは費用をかけずにできる対策から始めることが重要です。オーナーや店長だけでなく、スタッフ全員の意識と少しの工夫で、お店のセキュリティレベルは格段に向上します。ここでは、今日からすぐに実践できるコストゼロの防犯対策を4つご紹介します。

3.1 現金管理のルールをスタッフ全員で徹底する

美容室は現金の取り扱いが多いため、管理ルールの徹底が盗難防止の基本です。まず、レジに高額な現金を置かない、売上金はこまめに金庫へ移すといった基本的なルールを定め、スタッフ全員で共有しましょう。例えば、「レジ内の現金は常に3万円以下にする」「1日の売上は閉店後ではなく、昼休憩など複数回に分けて金庫に入れる」といった具体的なルールが有効です。また、金庫の鍵や暗証番号の管理者を限定し、レジ締めは必ず2人以上で行うなど、相互チェックが働く仕組みを作ることで、内部不正のリスクも低減できます。

3.2 閉店時の防犯チェックリストを作成し運用する

閉店後の無人になった店舗は、空き巣にとって格好のターゲットです。日々の閉店作業に抜け漏れがないよう、防犯チェックリストを作成し、運用しましょう。誰がいつ作業しても同じ防犯レベルを保てるように、チェックリストを作成し、指差し確認を徹底することが大切です。リストには、「正面入り口の施錠」「裏口や窓の施錠」「トイレやスタッフルームの小窓の施錠確認」「金庫の施錠確認」「パソコンのシャットダウン」などの項目を盛り込みます。最後にチェックしたスタッフがサインをする欄を設けることで、責任感を高める効果も期待できます。

3.3 日頃から防犯意識を高める声かけを習慣化する

犯罪者は「見られていること」「声をかけられること」を嫌います。お客様への挨拶はもちろんのこと、スタッフ間でのコミュニケーションを活発にすることが、実は有効な防犯対策になります。「〇〇様、シャンプー台へご案内します」「レジを少し離れます」など、スタッフ同士の積極的な声かけは、不審者に対して「見られている」という意識を与え、犯行をためらわせる効果があります。また、見慣れない人物が店内をうろついている場合は、「何かお探しですか?」と積極的に声をかけることで、犯罪の抑止につながります。

3.4 店内の整理整頓で死角をなくす

乱雑な店内は、犯罪者にとって好都合な環境です。商品や備品が散らかっていると、それに紛れて犯行に及んだり、隠れる場所が生まれたりします。店内が整理整頓され、見通しが良い状態は、犯罪者が隠れる場所をなくし、犯行の機会を奪います。特に、待合スペースの雑誌や、販売用の商品棚、バックヤードなどを常に整理し、レジや受付から店内全体を見渡せるようにレイアウトを工夫しましょう。背の高いPOPやパーテーションの配置を見直すだけでも、死角を減らすことができます。清潔で整頓された店舗は、お客様に良い印象を与えるだけでなく、防犯性の向上にも直結するのです。

4. セキュリティレベルを上げる本格的な美容室の防犯対策【設備編】

コストゼロの対策に加えて、設備投資を行うことで美容室のセキュリティレベルは飛躍的に向上します。犯罪者は侵入に手間がかかる、あるいは証拠が残る店舗を避ける傾向にあります。ここでは、犯罪を未然に防ぎ、万が一の際に有力な証拠を残すための本格的な防犯設備について解説します。

4.1 防犯カメラの設置で犯罪を抑止・記録する

防犯カメラは、犯罪の抑止と発生時の証拠記録という二つの大きな役割を果たします。カメラが設置されているだけで犯罪のターゲットから外れやすくなるだけでなく、トラブル発生時には状況を客観的に証明する強力な証拠となります。「防犯カメラ作動中」といったステッカーを目立つ場所に貼ることで、抑止効果をさらに高めることができます。

4.1.1 防犯カメラの効果的な設置場所

防犯カメラの効果を最大限に引き出すには、設置場所が重要です。闇雲に設置するのではなく、目的を持って戦略的に配置しましょう。

・店舗の出入り口
不審者や犯人の顔、服装などを記録するための最重要ポイントです。内外両方から撮影できるように設置するのが理想的です。

・レジカウンター周辺
売上金の盗難や金銭トラブルを防ぎます。お客様とのやり取りだけでなく、スタッフの手元も映る角度に設置すると内部不正の抑止にも繋がります。

・バックヤード・スタッフルーム
スタッフの私物や店舗の備品を盗難から守ります。人の目が行き届きにくい場所だからこそ、カメラによる監視が有効です。

・高価な薬剤・商品棚
高価な業務用薬剤や店販商品が狙われるケースも少なくありません。在庫管理と盗難防止の両面で役立ちます。

※お客様のプライバシーに配慮し、施術スペースやトイレ、更衣室などへの設置は避けるのがマナーです。

4.1.2 美容室向け防犯カメラの選び方と費用相場

美容室に設置する防犯カメラを選ぶ際は、いくつかのポイントを押さえる必要があります。

・画質
人物の顔を鮮明に識別できるよう、200万画素(フルHD)以上の高画質なモデルを選びましょう。画質が低いと、いざという時に証拠として機能しない可能性があります。

・夜間撮影機能
閉店後の無人になった店舗を監視するため、赤外線暗視機能など、暗闇でも撮影できる機能は必須です。

・録画データの保存方法
スマートフォンなどから遠隔で映像を確認できる「クラウド録画」タイプと、店内に設置した録画機(HDD)に保存するタイプがあります。利便性やコストを比較して選びましょう。

・費用相場
カメラ本体は1台数万円から、設置工事費が数万円からが一般的です。クラウド録画サービスを利用する場合は、加えて月額数千円程度の費用がかかります。初期費用を抑えられるリースやレンタルのプランを提供している業者もあります。

4.2 窓と出入り口の防犯対策で侵入を防ぐ

空き巣の侵入経路で最も多いのが窓と出入り口です。ここを物理的に強化することが、侵入被害を防ぐための基本であり、最も効果的な対策の一つです。

4.2.1 ピッキングに強い鍵や補助錠の導入

「ワンドア・ツーロック」は防犯の基本です。既存の鍵に加えて補助錠を設置するだけで、侵入にかかる時間が倍増するため、空き巣に犯行を諦めさせる効果が期待できます。また、鍵自体を、構造が複雑でピッキングが困難な「ディンプルキー」に交換することも非常に有効です。ドアの内側のつまみ(サムターン)を回して侵入する手口を防ぐ「サムターンカバー」の設置も検討しましょう。

4.2.2 窓ガラスには防犯フィルムを貼る

侵入窃盗で多い手口の一つが「ガラス破り」です。大きな窓ガラスがある美容室は特に注意が必要です。窓ガラスに防犯フィルムを貼ることで、ガラスを叩き割るのに時間がかかるようになり、侵入を困難にします。警察庁などが性能を認めた「CPマーク」付きの防犯フィルムを選ぶとより安心です。見た目を損なわずに防犯性能を高められるため、店舗の雰囲気を壊したくないオーナー様におすすめです。

4.3 センサーライトや防犯ブザーで侵入者を威嚇する

侵入者は、光や音で人目を引くことを極端に嫌います。センサーライトや防犯ブザーは、侵入者を威嚇し、犯行を断念させる効果があります。店舗の裏口や駐車場、路地裏に面した窓など、夜間に死角となりやすい場所にセンサーライトを設置すると、人が近づいた際に自動で点灯し、不審者の侵入意欲を削ぎます。また、窓やドアに設置するタイプの防犯ブザーは、衝撃や開閉を検知すると大音量で警報を発し、周囲に異常を知らせるとともに侵入者を撃退します。

4.4 警備会社のセキュリティシステム導入を検討する

より高度で確実な安心を求めるなら、セコムやALSOKといったプロの警備会社が提供するセキュリティシステムの導入が最適です。各種センサーが侵入や火災などの異常を24時間365日監視し、異常を検知した際には警備員が現場へ急行するため、被害を最小限に食い止められます。月々の費用はかかりますが、オーナーが不在の夜間や休日でも店舗の安全が守られているという安心感は、何物にも代えがたい価値があります。店舗向けの火災保険や盗難保険が付帯しているプランもあり、トータルで店舗を守る強力な選択肢となります。

5. 万が一被害に遭ってしまった場合の対処法

どれだけ万全な対策を講じていても、残念ながら犯罪被害に遭ってしまう可能性はゼロではありません。もしもの事態に直面したとき、パニックにならず冷静に行動することが、被害を最小限に食い止め、二次被害を防ぐ鍵となります。ここでは、被害発生時の正しい対処法を時系列で解説します。

5.1 スタッフの安全確保を最優先する

何よりも優先すべきは、お客様とスタッフの命と安全です。特に営業中に強盗などの凶悪な犯罪に遭遇した場合は、以下の行動を徹底してください。

犯人を刺激するような行動は絶対に避けましょう。大声を出したり、急に動いたり、抵抗したりすることは非常に危険です。犯人の要求には、身の安全を確保できる範囲で従い、現金や貴重品を渡してください。物よりも人命が大切であるという意識をスタッフ全員で共有しておくことが重要です。可能であれば、お客様を誘導しつつ、バックヤードや店外など安全な場所へ速やかに避難しましょう。

5.2 すぐに警察へ通報する

身の安全が確保でき次第、ためらわずに110番通報してください。閉店後に空き巣被害を発見した場合も同様です。通報の際は、落ち着いて以下の情報を明確に伝えましょう。

  • 事件の種類(強盗、窃盗、空き巣など)
  • 被害が発生した場所(店舗の住所、名称、目印)
  • 被害の状況(けが人の有無、盗まれたものなど)
  • 犯人の情報(人数、性別、服装、逃走方向など覚えている範囲で)
  • 現在の状況

警察が到着するまで、可能な限り現場の状況を維持すること(現場保存)が、犯人逮捕に繋がる重要な証拠を守るために不可欠です。むやみに室内に立ち入ったり、物に触れたり、片付けを始めたりしないように注意してください。

5.3 保険会社へ連絡する

警察への通報と現場検証が終わったら、加入している保険会社または代理店へ連絡します。店舗向けの火災保険や店舗総合保険には、盗難による損害を補償する特約が付帯しているケースがほとんどです。被害内容を正確に伝え、保険金請求の手続きについて指示を仰ぎましょう。

保険金の請求には、警察署で発行される「被害届受理番号」が必ず必要になります。その他、被害状況を撮影した写真や、盗難・破損したもののリスト(被害品明細書)なども求められるため、事前に準備しておくと手続きがスムーズに進みます。日頃から契約している保険の内容を確認しておくことも大切です。

6. まとめ

美容室は、現金や高価な機材が豊富で夜間は無人になるため、窃盗や不審者トラブルといった犯罪に狙われやすいのが実情です。被害を未然に防ぐには、日々の現金管理や声かけといった意識改革から、防犯カメラや警備システムの導入といった設備投資まで、多角的な対策が不可欠です。「まさか」の後悔をしないためにも、本記事を参考に自店の状況に合った対策を組み合わせ、お客様とスタッフが安心して過ごせる安全な店舗環境を構築しましょう。

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この記事を書いた人

美容室のミカタのアバター 美容室のミカタ 美容室の支援実績が豊富な税理士・社労士・弁護士

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