慌てない美容師向け|これからはじまる確定申告の準備、何すればよい?今すぐやるべきことリスト

個人事業主や業務委託として働く美容師にとって、年に一度の確定申告は頭の痛い問題。「何から始めればいいの?」「準備が間に合うか不安…」と感じていませんか?この記事では、そんな美容師のあなたに向けて、確定申告の準備で今すぐやるべきことをリスト形式でわかりやすく解説します。美容師ならではの経費にできるものの具体例から、節税効果の高い青色申告で最大65万円の控除を受けるための条件、おすすめの会計ソフトまで、あなたが知りたい情報を網羅しました。この記事を読めば、確定申告の全体像を掴み、慌てずスムーズに申告を終えることができます。

目次

1. まずはチェック そもそもあなたは確定申告が必要?

毎年、年末から年始にかけて話題になる「確定申告」。フリーランスや業務委託として働く美容師さんにとっては避けて通れない手続きですが、「自分は本当に申告が必要なの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。まずは、ご自身の働き方と所得を確認し、確定申告の対象者かどうかをはっきりさせましょう。

1.1 確定申告が必要になる美容師の働き方とは

美容師とひと口に言っても、その働き方は様々です。働き方によって確定申告の要否が異なるため、ご自身がどれに当てはまるか確認してみてください。

【原則、確定申告が必要な働き方】

  • 個人事業主(フリーランス):業務委託契約でサロンワークをしている、面貸し(ミラーレンタル)を利用している、自身でサロンを経営しているなど、会社に雇用されず個人で事業を営んでいる場合は、原則として確定申告が必要です。

【条件によって確定申告が必要になる働き方】

  • 正社員・パート・アルバイト:サロンから給与を受け取っている場合、通常は会社が年末調整を行ってくれるため、個人での確定申告は不要です。しかし、以下のようなケースでは確定申告が必要、または申告した方がお得になります。
    • 副業での所得が年間20万円を超える場合(例:休日に他のサロンでヘルプに入った、ヘアメイクの仕事をしたなど)
    • 年間の給与収入が2,000万円を超える場合
    • 2か所以上のサロンから給与をもらっている場合
    • 医療費控除やふるさと納税(ワンストップ特例制度を利用しない場合)の適用を受けたい場合

2. 【今すぐやるべきことリスト】確定申告の準備ファーストステップ

確定申告のシーズンが近づくと「何から手をつければいいの?」と焦ってしまいがちです。しかし、事前にやるべきことを知っておけば、落ち着いて対応できます。ここでは、確定申告の準備を始めるにあたり、すべての美容師さんが「今すぐ」取りかかるべき3つのステップをリストアップしました。まずはこの3つから始めて、スムーズな確定申告を目指しましょう。

2.1 ステップ1 1年分の売上と経費のレシートを集める

確定申告の基本は、1年間(1月1日〜12月31日)の収入と支出を正確に把握することです。その証拠となるのが、日々の取引で発生するレシートや領収書です。1年分の売上と経費に関するすべての書類を集めることが、正確な申告に向けた最も重要で基本的な第一歩となります。

まずは、以下の書類が手元にあるか確認し、散らばっている場合は一箇所に集めましょう。

  • 売上に関する書類:POSレジの売上データ、銀行口座の入金履歴がわかる通帳や明細、お客様に発行した領収書の控えなど
  • 経費に関する書類:材料の仕入れや仕事道具の購入で受け取ったレシートや領収書、クレジットカードの利用明細、セミナー参加費の支払い証明など

書類をなくさないよう、月ごとにクリアファイルや封筒に分けて保管するのがおすすめです。もしレシートをもらい忘れたり紛失したりした場合は、出金伝票や手帳などに「日付・金額・支払先・内容」をメモしておきましょう。

2.2 ステップ2 確定申告の方法を決める(青色申告か白色申告か)

書類集めと並行して、ご自身の確定申告を「青色申告」と「白色申告」のどちらで行うかを決めましょう。どちらを選ぶかによって、帳簿の付け方や受けられる節税メリットが大きく変わります。

【白色申告】

簡単な帳簿付けで申告できる、初心者向けの方法です。ただし、後述する青色申告のような特別な節税メリットはありません。

【青色申告】

複式簿記という正規のルールに沿った帳簿付けが必要ですが、最大65万円の特別控除を受けられるなど、非常に大きな節税効果が期待できます。個人事業主として活動する多くの美容師さんにとって、メリットの大きい申告方法といえるでしょう。赤字を翌年以降3年間繰り越せる「純損失の繰越控除」も魅力です。

節税を考えるなら青色申告が断然おすすめです。どちらの方法を選ぶかによって、この後の準備の進め方が変わるため、早めに方針を固めておきましょう。

2.3 ステップ3 開業届と青色申告承認申請書を提出したか確認する

ステップ2で「青色申告」を選ぶと決めた場合、事前に税務署へ特定の書類を提出している必要があります。それが「開業届」と「青色申告承認申請書」です。

・開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)
フリーランスの美容師として事業を始めた際に、原則として1ヶ月以内に税務署へ提出する書類です。

・青色申告承認申請書
青色申告の特典を受けるために必要な書類です。原則として、青色申告をしたい年の3月15日までに提出する必要があります。

過去にこれらの書類を提出したかどうかわからない場合は、まず提出した際の「控え」が手元にないか探してみてください。もし見つからなければ、管轄の税務署に問い合わせて確認することも可能です。万が一、まだ提出していなくても、今から提出すれば来年以降の確定申告で青色申告を選択できます。今年の申告が白色申告になったとしても、来年に向けて今すぐ手続きを進めておくことが重要です。

3. 美容師ならではの経費はこれ 確定申告で認められる経費一覧

確定申告において節税の鍵を握るのが「経費」です。売上から経費を差し引いた金額が「所得」となり、この所得に対して税金がかかります。つまり、事業に必要な支出を漏れなく経費として計上することが、手元に残るお金を増やすための重要なポイントです。ここでは、美容師の仕事に特有の経費にできるもの・できないものを具体的に解説します。

3.1 ハサミや仕事道具など経費にできるものの具体例

美容師の仕事で使う道具や材料は、そのほとんどが経費として認められます。大切なのは「事業(サロンワーク)のために使った費用である」と明確に説明できることです。日々の支出が経費になるか迷ったときは、この基準に立ち返って考えましょう。

3.1.1 仕事道具(シザー・コーム・ダッカールなど)

シザーやコーム、ブラシ、ダッカール、バリカン、ドライヤー、ヘアアイロンなど、施術に直接使用する道具の購入費用は「消耗品費」として経費に計上できます。高価なシザーなど、1つあたり10万円以上する道具は「減価償却資産」として、数年に分けて経費計上する必要がありますので注意しましょう。

3.1.2 薬剤やシャンプーなどの材料費

カラー剤、パーマ液、シャンプー、トリートメント、スタイリング剤といった、お客様への施術で使用するものは「材料費」または「仕入高」として経費になります。また、お客様に販売するための店販商品を仕入れた費用も、同様に経費として計上できます。

3.1.3 技術向上のためのセミナーや研修費

最新のカット技術やカラー理論を学ぶセミナーの参加費、経営ノウハウに関する講習会の費用、業界専門誌や技術関連の書籍購入費なども「研修費」や「新聞図書費」として経費にできます。自身のスキルアップや知識向上のための投資は、将来の売上につながる重要な経費と認められます。

3.1.4 仕事で使うスマホやPCの通信費

予約管理やカルテ作成、SNSでの集客活動、お客様との連絡などで使用するスマートフォンやパソコンの通信費、インターネット回線の利用料も経費の対象です。ただし、プライベートと共用している場合は、仕事で使っている割合分だけを「家事按分」して経費計上する必要があります。例えば、1日のうち仕事で3時間使うなら、通信費の8分の3(3時間÷24時間)を経費にする、といった合理的な基準で計算します。

3.1.5 お客様との打ち合わせ飲食代

施術モデルや取引先、あるいは集客につながる可能性のある方との打ち合わせでかかったカフェ代や食事代は「接待交際費」として経費にできます。その際、領収書やレシートの裏に「誰と」「何のために」飲食したのかをメモしておくことが非常に重要です。これが税務調査の際に、事業関連の支出であることの証明になります。

3.2 これはNG 経費にできないものの注意点

一方で、事業に関係のない支出は当然ながら経費にはなりません。判断に迷いやすい項目を事前に把握し、誤った申告をしないように気をつけましょう。

代表的な例は、友人との食事代や趣味の買い物といったプライベートな支出です。また、個人事業主には「給与」という概念がないため、事業用の口座から引き出した生活費は経費になりません。

美容師が特に注意したいのが「衣服代」です。仕事中に着る服であっても、プライベートでも着用できるようなスーツや一般的な洋服は経費として認められにくいのが原則です。ただし、サロン名が刺繍されたユニフォームなど、明らかに業務用と判断できるものは経費にできます。

このほか、所得税や住民税、国民健康保険料、国民年金保険料などは、経費ではなく所得から控除される「社会保険料控除」などの対象となるため、経費計上はできません。

4. 確定申告の準備を効率化する会計ソフトの選び方

確定申告と聞くと「複雑で難しそう」と感じるかもしれませんが、会計ソフトを使えば簿記の知識がなくても驚くほど簡単に帳簿付けができます。手書きやExcelでの管理は、計算ミスや記入漏れのリスクが伴いますが、会計ソフトはそれらの心配を解消してくれます。特に、日々の業務で忙しい美容師さんにとって、会計ソフトは最強の時短ツールと言えるでしょう。スマートフォンアプリに対応しているソフトを選べば、お客様の合間や通勤中などのスキマ時間で作業を進めることも可能です。

4.1 美容師におすすめの会計ソフト3選

ここでは、初心者でも使いやすく、多くの個人事業主に支持されている代表的な会計ソフトを3つご紹介します。いずれもスマートフォンでのレシート読み取り機能や、銀行口座・クレジットカードとの連携機能を備えており、日々の入力作業を大幅に削減できます。

4.1.1 freee会計

「簿記の知識ゼロ」からでも直感的に操作できるのが最大の特長です。収入や支出を質問に答える形式で入力していくだけで、自動的に帳簿が作成されます。スマホアプリの使いやすさにも定評があり、レシートを撮影するだけで簡単に経費登録が完了します。とにかく簡単に確定申告を終わらせたい、PC作業が苦手という方におすすめです。

4.1.2 マネーフォワード クラウド確定申告

銀行口座やクレジットカード、電子マネーなど、連携できる金融機関の数が豊富なのが魅力です。一度連携設定をすれば、取引データが自動で取り込まれ、仕訳候補も提案してくれます。お金の出入りをまとめて管理したい方に最適です。プライベートのお金も管理できる家計簿アプリ「マネーフォワード ME」と連携させやすいため、事業と家計を一元管理したい方にも向いています。

4.1.3 やよいの青色申告 オンライン

会計ソフトの老舗として、長年の実績と信頼性があります。シンプルな画面設計で分かりやすく、操作に迷った際のサポート体制も充実しているため、安心して利用できます。業界最大手の安心感と、手厚いカスタマーサポートを重視する方に選ばれています。初年度は無料で試せるキャンペーンを実施していることが多く、コストを抑えて始めたい方にもぴったりです。

4.2 挫折しない帳簿付けのコツ

便利な会計ソフトを導入しても、帳簿付けが続かなければ意味がありません。ここでは、三日坊主にならずに確定申告の準備を乗り切るためのコツを解説します。

4.2.1 レシートはその日のうちに撮影する

経費のレシートや領収書は、お財布に溜め込まず、仕事が終わったタイミングでスマホで撮影する習慣をつけましょう。「あとでまとめてやろう」は挫折の第一歩です。お店のデスクに「レシート入れ」のトレイを用意し、帰宅前にそこにあるものを全て撮影して捨てる、というルールを作るのがおすすめです。

4.2.2 事業用の口座とクレジットカードを作る

プライベート用と事業用のお金の出入りが混在していると、帳簿付けの際に一つひとつ「これは事業用、これはプライベート用」と仕分ける手間が発生し、非常に面倒です。事業専用の銀行口座とクレジットカードを用意し、事業に関わる支払いはすべてそちらに統一しましょう。これにより、会計ソフトと連携した際の自動仕訳が格段に楽になります。

4.2.3 週に一度、15分のレビュータイムを設ける

毎日帳簿と向き合う必要はありません。その代わり、「毎週月曜の朝一番」など、週に一度15分だけ会計ソフトを開く時間を強制的に作りましょう。その時間に、自動で取り込まれた取引内容を確認し、未処理のレシートがないかチェックするだけです。短時間でも定期的に続けることが、申告直前に慌てないための最大の秘訣です。

5. 【申告直前】確定申告書の作成から提出までの流れ

帳簿付けが終わり、いよいよ確定申告の最終段階です。ここでは、申告書の作成から提出、そして納税または還付までの具体的な流れを解説します。申告期間は例年2月16日から3月15日までと限られています。直前で慌てないよう、一つひとつのステップを確実にこなしていきましょう。

5.1 確定申告に必要な書類一覧

確定申告書を作成・提出する際には、さまざまな書類が必要です。手元にあるべき書類をリストアップしましたので、漏れがないか最終確認をしてください。

【必ず用意するもの】

  • 確定申告書
  • 青色申告決算書(青色申告の場合)または収支内訳書(白色申告の場合)
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、または通知カード+運転免許証など)
  • 売上や経費の証明となる帳簿や領収書(提出は不要ですが、7年間の保管義務があります)

【該当する場合に用意するもの】

  • 国民年金保険料・国民健康保険料の控除証明書または納付額がわかる書類
  • 生命保険料や地震保険料の控除証明書
  • 医療費控除の明細書
  • iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金払込証明書

控除に関する証明書は、秋から冬にかけて郵送で届いているはずです。もし紛失してしまった場合は、各機関に再発行を依頼しましょう。書類の準備は早めに行い、漏れがないかダブルチェックすることが節税とスムーズな申告の鍵です。

5.2 確定申告書の提出方法3つ

作成した確定申告書は、次の3つのいずれかの方法で提出します。ご自身の状況に合わせて最適な方法を選びましょう。

5.2.1 1. e-Tax(電子申告)で提出する

国税庁のシステム「e-Tax」を利用して、インターネット経由で申告する方法です。24時間いつでも自宅から提出でき、税務署へ行く手間が省けるため、忙しい美容師の方に最もおすすめです。青色申告の場合、e-Taxで申告するだけで青色申告特別控除が最大65万円になるという大きなメリットもあります。利用にはマイナンバーカードと、それを読み取るICカードリーダライタまたは対応スマートフォンが必要です。

5.2.2 2. 税務署の窓口へ持参して提出する

管轄の税務署へ直接出向き、窓口で提出する方法です。職員の方にその場で書類を確認してもらえるため、記載内容に不安がある場合に安心感があります。ただし、申告期間中は大変混雑し、長時間待たされることも少なくありません。時間に余裕を持って行くようにしましょう。

5.2.3 3. 郵便または信書便で税務署へ送付する

作成した申告書一式を、管轄の税務署宛てに郵送する方法です。税務署の閉庁時間を気にせず提出できますが、書類に不備があった場合に修正のやり取りで手間がかかる可能性があります。郵送で提出する場合、提出日は通信日付印(消印)の日付とみなされます。期限ギリギリに送る際は、必ず郵便局の窓口で消印を押してもらうようにしましょう。

5.3 納税または還付の手続きを忘れずに

確定申告は、書類を提出して終わりではありません。計算の結果、納めるべき税金(納税)が発生した場合と、払い過ぎた税金が戻ってくる(還付)場合があります。それぞれの手続きを忘れずに行いましょう。

5.3.1 納税が必要な場合

所得税の納税額が確定したら、申告期限と同じく原則3月15日までに納付する必要があります。主な納付方法は以下の通りです。

  • 振替納税(指定した預貯金口座から自動で引き落とし)
  • e-Taxによるダイレクト納付
  • クレジットカード納付
  • コンビニ納付(QRコードを利用)
  • 金融機関や税務署の窓口で現金納付

口座振替は一度手続きをすれば翌年以降も自動で行われるため便利ですが、事前に届出書の提出が必要です。

5.3.2 還付金が受け取れる場合

年間の売上から源泉徴収されていた税額が、本来納めるべき税額より多かった場合、差額が還付金として戻ってきます。還付金は、確定申告書に記入した本人名義の銀行口座に振り込まれます。e-Taxで申告すると、書面での提出に比べて還付金が振り込まれるまでの期間が短い傾向にあります。一般的に、e-Taxなら申告から約2〜3週間、書面提出なら約1ヶ月〜1ヶ月半で入金されます。

6. まとめ

本記事では、美容師の方が確定申告に向けて今すぐ準備すべきことを解説しました。年間所得が48万円を超えたら申告が必要です。まずは売上と経費の記録を集め、ご自身の状況に合わせて青色申告か白色申告かを選びましょう。美容師ならではの経費を漏れなく計上することが、節税の重要なポイントです。特に最大65万円の控除が受けられる青色申告は、節税効果が高いためおすすめです。会計ソフトなどを上手に活用し、この記事を参考に余裕を持った準備を始めましょう。

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この記事を書いた人

美容室のミカタのアバター 美容室のミカタ 美容室の支援実績が豊富な税理士・社労士・弁護士

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