美容師が次のステージへ!1人営業のメリットデメリットと、人を雇うかどうかの最適解は?

独立を目指す美容師が直面する「1人営業」か「スタッフ雇用」かの大きな決断。この記事では、1人営業ならではの収益や時間の自由といったメリット、経営や体力の壁となるデメリットを徹底比較します。さらに、人を雇うべきタイミングや採用の注意点、成功事例まで網羅的に解説。この記事を読めば、あなたの理想の働き方とサロン経営を実現するための最適な選択肢が明確になります。

目次

1. 美容師の1人営業は本当に成功できるのか

スタイリストとして経験を積み、お客様からの指名も増えてきた頃、多くの美容師が次のステージとして「独立」を意識し始めます。「自分だけの城を持ち、理想の空間でお客様一人ひとりと深く向き合いたい」「頑張った分だけ、正当な収入を得たい」そんな想いを抱くのは自然なことです。

特に近年、大規模サロンではなく、お客様との距離が近いプライベートサロン、いわゆる「1人営業」という働き方が注目されています。しかし、その一方で、「本当に自分一人で経営していけるのだろうか?」「集客や経理はどうするの?」「もし病気で倒れたら…」といった、尽きない不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

結論からお伝えすると、美容師の1人営業は、正しい知識と計画的な準備があれば十分に成功可能です。事実、自由な働き方と高い収入を両立させ、充実した美容師ライフを送っているオーナーは数多く存在します。

ただし、成功への道筋は決して平坦ではありません。そこには、1人だからこそ得られる大きなメリットと、1人だからこそ直面する厳しいデメリットが表裏一体で存在します。この記事では、あなたが後悔のない選択をするために、1人営業のリアルな光と影を徹底的に解説し、さらにその先の「人を雇う」というフェーズについても深く掘り下げていきます。まずは、1人営業がもたらす輝かしいメリットから見ていきましょう。

2. 【メリット編】美容師が1人営業で手にする5つの自由

多くの美容師が一度は夢見る「独立」。中でも1人営業というスタイルは、組織に縛られず、自分の理想を追求できる大きな可能性を秘めています。ここでは、1人営業だからこそ手に入れられる5つの「自由」について、具体的なメリットを詳しく解説します。

2.1 収益の自由 頑張りがダイレクトに収入へ

サロン勤務時代、売上を上げても給与への反映が限定的で、もどかしさを感じた経験はありませんか。1人営業の最大の魅力は、売上から経費を差し引いた額が、すべて自分の収入になることです。アシスタントへの給与支払いや、会社へのロイヤリティも発生しません。

自分で施術料金を設定できるため、技術や経験、提供する価値に見合った価格でお客様をお迎えできます。客単価を意識したメニュー構成や、付加価値の高いサービスを提供することで、収入を青天井に伸ばしていくことも可能です。頑張りがダイレクトに収益に繋がるため、仕事へのモチベーションも格段にアップするでしょう。

2.2 時間の自由 プライベートも大切にできる

「休みが少ない」「拘束時間が長い」といった美容師業界の課題から解放されるのも、1人営業の大きなメリットです。定休日や営業時間を自分のライフスタイルに合わせて自由に設定できます。

例えば、子育てと両立するために平日の夕方までの営業にしたり、趣味の時間を確保するために週休3日にしたりすることも可能です。朝礼や終礼、ミーティングもないため、純粋にお客様と向き合う時間とプライベートの時間を明確に分けられます。完全予約制にすれば、自分のペースで仕事を進められ、心身ともにゆとりのある働き方を実現できます。

2.3 場所の自由 理想の立地と空間を実現

1人営業は、大規模な店舗を必要としません。そのため、開業場所の選択肢が大きく広がります。駅前の賑やかなエリアだけでなく、自宅の一部を改装したプライベートサロンや、郊外の落ち着いた隠れ家サロンなど、自分のコンセプトに合った場所を選べます。

内装やインテリア、BGM、香りまで、すべてを自分のこだわりで満たした空間を創り上げることができます。お客様にとっても、あなたにとっても、心からリラックスできる特別な場所を提供できるのは、1人営業ならではの醍醐味と言えるでしょう。

2.4 人間関係の自由 ストレスフリーな職場環境

美容師の離職理由の上位に常に挙げられるのが、職場の人間関係です。1人営業では、上司や同僚、後輩との人間関係に悩まされることは一切ありません。施術やお客様と向き合うことだけに集中できる、ストレスフリーな環境を手に入れられます。

お客様一人ひとりとマンツーマンでじっくり向き合えるため、より深く、良好な関係を築きやすいのも特徴です。他のお客様やスタッフを気にすることなく、カウンセリングから仕上げまで責任を持って担当することで、お客様からの信頼も厚くなります。

2.5 コンセプトの自由 独自のサービスを提供

「本当はこんなサービスを提供したいのに」「この薬剤を使いたいのに」といった組織のルールに縛られることなく、自分の理想とするサロンのコンセプトを100%体現できるのが1人営業の魅力です。

例えば、「髪質改善特化サロン」「オーガニック商材のみを扱うサロン」「メンズ専門のバーバー風サロン」など、自分の強みや世界観を前面に押し出した独自のブランディングが可能です。使用するシャンプーやトリートメント、カラー剤から、提供するドリンクサービスに至るまで、すべてを自分で選定し、他店との圧倒的な差別化を図ることができます。

3. 【デメリット編】美容師1人営業の前に知るべき4つの壁

自由で理想的な働き方ができる1人営業ですが、その裏には大きな責任と乗り越えるべき壁が存在します。メリットだけに目を向けて独立すると、思わぬ困難に直面することも少なくありません。ここでは、1人営業を始める前に必ず知っておきたい4つのデメリットを具体的に解説します。

3.1 経営の壁 集客から会計まで全て自己責任

1人サロンのオーナーは、美容師であると同時に経営者です。カットやカラーといった施術スキルだけでは、サロンを維持していくことはできません。集客、経理、総務といったサロン運営に関わる全ての業務を自分一人でこなす必要があります。

例えば、新規顧客を獲得するためのSNS運用や広告出稿、リピーターを育てるための顧客管理、日々の売上計算から年に一度の確定申告まで、業務は多岐にわたります。技術以外の仕事に追われ、本来の施術に集中できないという事態に陥る可能性も十分に考えられるでしょう。

3.2 体力の壁 代わりがいないプレッシャー

会社員とは違い、1人営業には「代わり」がいません。自分が働けなくなれば、その瞬間にサロンの売上はゼロになります。急な体調不良や怪我で休業せざるを得ない場合、お客様にご迷惑をおかけするだけでなく、収入が途絶えるという直接的なリスクに繋がります。

また、「休む=収入減」というプレッシャーから、無理をして働き続けてしまうケースも少なくありません。心身ともに健康でなければ、質の高いサービスを提供し続けることは困難です。自己管理能力がこれまで以上に求められることを覚悟しておく必要があります。

3.3 孤独の壁 技術や悩みを相談できない

サロンに勤務していれば、同僚や先輩と技術について意見交換したり、仕事の悩みを相談したりする機会があります。しかし、1人営業ではそうした相手が職場にいません。新しい技術の習得や経営上の課題に直面した際、気軽に相談できず一人で抱え込んでしまう孤独感は、想像以上に大きな壁となります。

自分の技術を客観的に評価してもらう機会も減るため、知らず知らずのうちに独りよがりなスタイルになってしまう危険性も。モチベーションを維持し、常にスキルをアップデートし続けるためには、外部のセミナーや勉強会へ積極的に参加するなど、自ら行動を起こす努力が不可欠です。

3.4 信用の壁 ローンや融資の審査

独立開業した個人事業主は、会社員と比較して社会的信用度が低く見られがちです。これは、プライベートな場面でも影響を及ぼす可能性があります。例えば、住宅ローンや自動車ローン、クレジットカードといった各種審査が通りにくくなるケースがあります。

また、事業を拡大するための追加融資を受けたいと思っても、安定した経営実績を示せなければ銀行からの信用を得るのは簡単ではありません。開業時の資金調達だけでなく、その後のライフプランや事業計画を見据えた上で、個人事業主としての信用をどう築いていくかを考えておくことが重要です。

4. 「人を雇う」フェーズへ移行する前に考えるべきこと

1人営業が軌道に乗り、予約が常に埋まっている状態はオーナーとして喜ばしい限りです。しかし、それは同時にお客様をお断りしている状況でもあり、売上の上限が見えてきたサインでもあります。このタイミングこそ、事業拡大の選択肢として「人を雇う」ことを具体的に検討すべきフェーズと言えるでしょう。ここでは、スタッフ雇用という大きな決断を下す前に、冷静に考えるべきポイントを整理します。

4.1 人を雇うメリットとデメリットを天秤にかける

感情や勢いだけで採用に踏み切るのは危険です。人を一人雇うということは、そのスタッフの人生の一部を預かることでもあります。まずはメリットとデメリットを客観的に比較し、自店にとって本当にプラスになるのかを慎重に判断しましょう。

4.1.1 メリット 売上アップと自分の時間確保

最大のメリットは、自分1人では決して超えられなかった売上の壁を突破できることです。あなたが施術している間にもう一人のスタッフがお客様を担当すれば、サロン全体の売上は単純計算で倍増する可能性があります。また、シャンプーや受付などの補助業務を任せることで、あなたはより付加価値の高い施術に集中できます。さらに、スタッフに店を任せられる時間ができれば、経営戦略を練ったり、新しい技術を学んだり、あるいは家族と過ごすプライベートな時間を確保したりと、オーナーとしての新しい時間の使い方が可能になります。

4.1.2 デメリット 人件費と教育コストの発生

一方で、最も大きなデメリットは固定費の増加です。スタッフを雇用すれば、売上がない日でも給与という人件費が発生します。これには社会保険料などの法定福利費も含まれるため、想定以上の負担になることも少なくありません。また、採用すればすぐに戦力になるわけではなく、サロンの理念や技術を共有するための教育コスト(時間・労力)が必ずかかります。自分のやり方を言語化し、根気強く指導する覚悟が必要です。採用したスタッフが早期に離職してしまえば、それまでかけたコストが全て無駄になるリスクも忘れてはいけません。

4.2 採用活動の進め方と注意点

「良い人がいれば雇いたい」という受け身の姿勢では、理想の人材には出会えません。自店の未来を左右する重要なプロジェクトとして、計画的に採用活動を進める必要があります。

4.2.1 求人媒体の選び方 ホットペッパービューティーリジョブなど

美容師専門の求人媒体はいくつかありますが、それぞれに特徴があります。業界最大手の「ホットペッパービューティーキャリア」は多くの求職者の目に触れますが掲載費用は高めです。一方、「リジョブ」は成功報酬型のプランもあり、採用コストを抑えたい個人サロンでも利用しやすいでしょう。他にも無料掲載が可能な「Indeed」などもありますが、多くの求人に埋もれがちです。自店の規模、かけられる予算、そしてどんな人材をターゲットにするかを明確にし、最適な媒体を選ぶことが成功の第一歩です。

4.2.2 面接で見るべきポイントと質問例

個人サロンの採用では、技術力以上に「人柄」や「価値観のマッチング」が重要になります。スキルは後からでも教えられますが、人間性を変えることはできません。面接では、リラックスした雰囲気を作り、応募者の本音を引き出すことを心がけましょう。

【質問例】

  • 「これまでの美容師経験で、最もやりがいを感じたエピソードを教えてください」
  • 「お客様と接する上で、あなたが一番大切にしていることは何ですか?」
  • 「5年後、10年後、どのような美容師になっていたいですか?」
  • 「もし、仕事で意見が対立した時、あなたならどう対応しますか?」

これらの質問を通じて、技術レベルだけでなく、仕事への情熱やコミュニケーション能力、そしてサロンの目指す方向性に共感してくれるかを見極めることが重要です。

4.3 アシスタントを雇う?スタイリストを雇う?

初めてスタッフを雇う際、アシスタントとスタイリストのどちらを選ぶべきかは非常に悩ましい問題です。これはサロンの現状と将来のビジョンによって最適解が異なります。

アシスタントを雇う場合、人件費を抑えられ、サロンのやり方や理念をゼロから教え込めるというメリットがあります。自分の片腕として、将来のサロンを担う人材を育てたいと考えるならアシスタントが適任です。ただし、戦力になるまで時間がかかり、売上に直結しにくい点は覚悟が必要です。

一方、スタイリストを雇う場合は、即戦力としてすぐ売上に貢献してくれることが期待できます。指名客を連れてきてくれる可能性もあり、サロンの成長を一気に加速させることができます。しかし、人件費は高くなり、既に確立された技術や接客スタイルがあるため、自店のコンセプトに馴染むまでに時間がかかる、あるいは軋轢が生まれる可能性も考慮しなければなりません。まずは自分の業務をサポートしてもらい施術に集中したいのか、それともサロン全体の売上をすぐにでも引き上げたいのか、目的を明確にして判断しましょう。

5. ケーススタディ 1人営業とスタッフ雇用それぞれの成功事例

ここでは、1人営業とスタッフ雇用、それぞれの道で成功を収めた美容師のリアルな事例をご紹介します。理論だけでなく、先輩たちの具体的な働き方や考え方を知ることで、あなたの目指す未来がより鮮明になるはずです。

5.1 1人営業で年収1000万円を超えた美容師の働き方

都心から少し離れたベッドタウンで、1人サロンを経営するAさん。開業3年で年収1000万円を達成した彼の成功の裏には、徹底した戦略がありました。

Aさんの戦略の核は、「髪質改善」という専門分野に特化した高単価メニューです。客単価を2万円以上に設定し、一人ひとりのお客様に2時間半から3時間の施術時間を確保。流れ作業ではなく、丁寧なカウンセリングと施術で顧客満足度を極限まで高めました。

集客はInstagramでのビフォーアフター投稿が中心。広告費をほとんどかけず、その分を最新の薬剤や機材への投資に回しています。その結果、リピート率は90%以上を維持し、お客様からの紹介だけで新規予約が埋まるという理想的なサイクルを生み出しました。1日の施術人数を4人に限定し、週休2日を確保することで、プライベートの時間も大切にしながら高収入を実現しています。

5.2 スタッフを雇用し2店舗目展開に成功したオーナーの話

地方都市で開業したBさんは、当初1人営業からスタートしました。しかし、予約が取れないお客様が増え続けたことを機に、スタッフの雇用を決意。現在ではスタッフ5名を抱え、2店舗目のオープンも果たしました。

Bさんの成功要因は、「理念に共感する人材の採用」と「仕組み化された教育システム」にあります。「お客様の10年後も美しい髪を創る」というサロンのビジョンを明確に掲げ、技術力だけでなく、その想いに共感してくれるスタッフを採用。アシスタントが入社後、スタイリストとしてデビューするまでのカリキュラムを整備し、誰が教えても一定のレベルで成長できる環境を整えました。

また、1店舗目の運営は育成した店長に任せ、自身は経営と2店舗目の立ち上げに専念。オーナーが現場を離れてもサロンが成長し続ける体制を構築したことが、事業拡大の大きな鍵となりました。チームで目標を追いかける文化を育み、組織全体の力で売上を伸ばし続けています。

6. まとめ

美容師の1人営業は、収益や時間の自由といった魅力的なメリットがある一方、経営や体力の壁といったデメリットも存在します。事業拡大を目指し人を雇う選択肢もありますが、人件費や教育コストという新たな課題も生まれます。どちらが正解ということはありません。本記事で解説した双方のメリット・デメリットを参考に、ご自身の理想とする美容師像やライフプランに合った働き方を選択することが、後悔のないキャリアを築くための第一歩となるでしょう。

お問い合わせ

\LINEでカンタン/
  • 長岡税理士事務所のスタッフが対応します
\電話で問い合わせる/
  • 受付時間:平日 9:00 〜 18:00
  • 長岡税理士事務所にて電話受付いたします
\メールで問い合わせる/
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

美容室のミカタのアバター 美容室のミカタ 美容室の支援実績が豊富な税理士・社労士・弁護士

美容室経営に深く関わる専門家が集い、「専門家を探す手間」「何度も同じ説明をするストレス」「誰に相談すべきかわからない不安」をすべて解消する「美容室のミカタ」。
お金、人、法律に関する悩みのほとんどは、私たちにご相談いただければ、チームの誰かが必ず解決できます。
美容業界を深く理解した私たちが、あなたの悩みに多角的な視点から最適な答えを導き出します。

目次